SURGERY
心臓血管外科
心臓血管外科について
About Medical department循環器内科医と連携し
最良の治療(手術)を提供する
心臓血管外科が担当する領域は非常に狭く、主として「冠動脈疾患(狭心症)」と「弁膜症」、「大動脈疾患」、「足の血管トラブル」に限られます。循環器内科の治療対象ともかなりオーバーラップしています。心臓血管外科医の使命は、この限られた疾患群に対して、循環器内科医と連携しつつも我々にしか成し得ない最良の治療(手術)を提供することです。また、下肢静脈瘤のレーザー治療や透析内シャント手術などの日帰り手術も積極的に行なっております。
主な疾患と治療法
Disease and Treatment- 冠動脈疾患(狭心症)
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冠動脈疾患(狭心症)
症状
心臓は新鮮な酸素や栄養を含んだ血液を全身に循環させるべく、1日に10万回、休むことなく動き続けています。心臓自体もたくさんのエネルギーを消費します。そんな心臓の筋肉や組織に血液を供給するのが冠動脈です(図1)。冠動脈疾患は長年の動脈硬化により、冠動脈に石灰や油分がこびり付き、内腔の通りが悪くなっている状態です(図2)。この状態を放置すると心臓の筋肉や組織が痛み(虚血性心筋症)、やがて心不全に至ります。経過中に致死的不整脈や心筋梗塞で突然死する場合があります。
多くの場合、突然の「胸の痛み」で気がつかれます。しかし、症状がないこともありますし、最初は「胃の痛み」と誤解されることも少なくありません。稀ですが、「肩の痛み」や「歯の痛み」を訴える方もいます。検査
●血液検査:糖尿病や高脂血症といったリスク因子の判定を行います。心筋梗塞をきたしている場合、逸脱酵素と呼ばれる物質を解析することで梗塞の程度や発症からの経過時間などを判断する材料になります。
●心電図検査:冠動脈疾患特有の変化が見られた場合、精密検査を進めます。
●心臓エコー検査:冠動脈の血流が悪くなると心臓の動きにも影響が出ます。心臓の動きをリアルタイムで把握できます。
●心臓カテーテル造影検査:冠動脈に造影剤を流し、狭くなっている場所や程度を評価します。治療方針の決定に最も重要な検査です。
●心臓CT検査:最近ではCTの精度があがり、短時間でカテーテル検査に近いデータを得られるようになって来ておりますが、病変の状態によっては十分な評価ができない場合があります(図3)。
治療
経皮的カテーテル治療:循環器内科医師が行います。カテーテル(細い管状の道具)を用いるので体への負担を小さくできますが、病状によっては適さない場合(多枝病変や持病として糖尿病がある方など)があります。詳しくは循環器内科の項をご覧ください。
冠動脈バイパス手術:全身麻酔をかけた上で、開胸して行います。狭窄病変を拡張しようとはせず、ご自身の体の中からより状態のいい血管を採取して、冠動脈の迂回路としてつなぎます(図4、図5)。人工心肺を使いながら心臓を完全に止めて行う方法(オンポンプ)と心臓は止めずにスタビライザーと呼ばれる器具を用いて行う方法(オフポンプ)があります(図6)。どちらも一長一短ですから、患者さんの状態に応じて使い分けます。
低侵襲冠動脈バイパス手術(ミッドキャブ手術):左胸を小さく開胸して行うオフポンプ手術です(図7、図8)。つなぐことができる血管は限られますが、体への負担が小さく、術後の入院期間を比較的短くすることができます。カテーテル治療と組み合わせることにより、これまでは諦めざるを得なかった高齢者など身体機能の弱った患者さんの冠動脈治療が可能になります(ハイブリッド治療)。
- 弁膜症
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弁膜症
症状
心臓は4つの部屋で構成されますが、各部屋の出口のところに弁膜と呼ばれる膜状の構造物があります(図9)。これらの弁膜は心臓を通過する血液の逆流を防ぐ重要な役割をしています。弁膜のトラブルとしては、錆びついて開きが悪くなる「狭窄」と全体が歪むなどして閉まりが悪くなる「閉鎖不全」が知られています。狭窄や閉鎖不全によって心臓に「圧負荷」や「容量負荷」がかかると、やがて心不全に至ります。失神や胸痛、動悸、息切れなどの症状とともに、致死的不整脈などによる突然死を来たす油断ならない病気です。
検査
●心臓エコー検査:動きが悪くなった弁膜の様子やドップラー測定で血流の方向を確認します。
●経食道心エコー検査:麻酔下に端子を食道に挿入し、内側から観察します。通常の経胸壁心エコー検査より鮮明かつ正確な像を得られます。治療
心臓から送り出された血流は大動脈を通って、頭のテッペンから足の先、そして各臓器に到達します。大動脈は傘のステッキのように弓なりに背中側に回り込み、背骨に沿って走行し、横隔膜を越えて腰の高さで左右に枝分かれします。この大動脈の一部がコブのように腫れ上がる病気が大動脈瘤です。横隔膜より上に発生したものが胸部大動脈瘤、横隔膜より下のものが腹部大動脈瘤と呼ばれます(図11)。また、コブの形状によって「紡錘瘤」「嚢状瘤」を区別します(図12)。症状はないことが多いものの、紡錘瘤の場合、胸部では50mm、腹部では40mmを超えて大きくなると破裂してショック死する頻度が高くなります。嚢状瘤は大きさによらず危険とされます。
- 大動脈瘤
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大動脈瘤
症状
心臓から送り出された血流は大動脈を通って、頭のテッペンから足の先、そして各臓器に到達します。大動脈は傘のステッキのように弓なりに背中側に回り込み、背骨に沿って走行し、横隔膜を越えて腰の高さで左右に枝分かれします。この大動脈の一部がコブのように腫れ上がる病気が大動脈瘤です。横隔膜より上に発生したものが胸部大動脈瘤、横隔膜より下のものが腹部大動脈瘤と呼ばれます(図11)。また、コブの形状によって「紡錘瘤」「嚢状瘤」を区別します(図12)。症状はないことが多いものの、紡錘瘤の場合、胸部では50mm、腹部では40mmを超えて大きくなると破裂してショック死する頻度が高くなります。嚢状瘤は大きさによらず危険とされます。
検査
●造影CT検査:大動脈の一部が拡張している様子が確認されます。コブの大きさを計測して、手術の必要性や方法を検討します(図13)。
治療
手術:胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤、どちらもコブになった大動脈を切除して人工血管に取り替える手術を行います。コブのできた部位によって手術の内容や難易度、合併症などのリスクが異なります(図14)。
ステントグラフト治療:形状記憶合金で裏打ちした人工血管を足の付け根の小さなキズから患部に送り込むステントグラフト治療がここ数年で目覚ましく普及して来ています。大動脈の状態やコブの場所によっては実施できない場合があります。
- (急性)大動脈解離
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(急性)大動脈解離
症状
大動脈は頭の先から足の先まで血液を送るために重要な構造物です。心臓から出て弓なりに背中側に回り込み、背骨に沿って走行し、腰の高さで二股に分かれます。大動脈の壁はよく見ると3枚の薄い膜で出来ています。一番内側の膜に亀裂が入り、「壁紙を剥がすように」上下に広がって行きます(図15)。「突然の背中や腰の突然の強い痛み」であれば、大動脈解離を疑う必要があります。
裂け目が心臓の近くまで達するものはA型解離と呼ばれ、原則として、緊急手術を要します(図16)。裂け目が心臓から離れているB型解離も油断なりません。裂け目がそれ以上広がらないよう、少なくとも3週間の安静を要します。
また、血管の裂け方により、脳梗塞や腸壊死、下肢壊疽といった重篤な続発症を呈することがあります。治療
A型解離の場合:大動脈の裂け目が心臓の心臓の近くまで到達すると、心臓の周囲に出血してショック状態になり、高い確率で死亡します(50%以上)。このため、緊急で大動脈の一部を人工血管に取り替えて補強する手術が必要になります(図17)。しかし、こうした状態の手術は大変リスクの高いものになりますので、手術をしても全国平均で15〜25%の方が亡くなるとされます。
人工血管に取り換える範囲は裂け方が範囲によって変わってきますが、術中判断になることが少なくありません。
B型解離の場合:大動脈の裂け目が心臓から離れた場所に留まるB型解離の治療は、裂け目が広がらないように、鎮痛と血圧管理を行いながら安静にすることです。日本循環器学会のリハビリプログラムに則り、慎重に管理を行います。近年では大動脈の裂け型によっては、積極的なステントグラフト治療も行われるようになって来ています。
- 下肢静脈瘤
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下肢静脈瘤
症状
初期〜中期では足のむくみ、だるさ、かゆみ、こむら返りから始まり、徐々に蛇行した静脈が瘤のように膨れ上がって来ます。進行すると、皮膚炎を繰り返し、潰瘍化や色素沈着といった症状が見られるようになります。 静脈瘤の多くは、静脈内にある逆流防止弁の緩みによるものです(図18)。重力により静脈内に血液が滞ることが上記の症状の原因になっています。
検査
●下肢血管エコー検査 静脈内の血液の逆流の有無や程度を評価します。
治療
弾性ストッキング着用:程度が軽い場合やすぐに手術をする時間がとれない方、エコー検査で明らかな逆流が認められないため手術の適応がない場合などの対症療法などとして行われます。
手術:以前は特殊な器具で伏在静脈を引き抜くストリッピング手術が主流でしたが、近年では光ファイバーを使った血管内焼灼術(レーザー治療)が普及し、日帰り治療が可能となっています(図19)。病状によっては高位結紮術や瘤切除術などを組み合わせて行います。静脈硬化療法:ポリドカスクレロールという特殊な薬剤を静脈内に注射して静脈の一部を塞ぐ治療です。美容目的に行われることが多い一方、色素沈着や皮膚炎などを起こすリスクがあるため、適応を慎重に検討します。
実績
Result医師紹介
Doctor-
集中治療科/心臓血管外科 科長
岡田 祥一Shoichi Okada
- 専門分野 | Specialized field
- ・心臓血管外科
・集中治療
・一般外科
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心臓血管外科 スーパーバイザー
南渕 明宏Akihiro Nabuchi
- 専門分野 | Specialized field
- ・成人心臓外科
・末梢血管外科
- 資格 | Qualification
- ・心臓血管外科専門医、同修練指導医
・外科専門医、同指導医
・循環器専門医
・小型船舶一級免許
・医学博士
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医師
寺田 拡仁Hirohito Terada
- 専門分野 | Specialized field
- 成人心臓外科
- 資格 | Qualification
- 日本外科学会専門医
心臓血管外科専門医
臨床研修指導医
下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医
下肢静脈瘤に対する血管内治療実施基準による指導医
外来診療表
Calendar- 初診・再診受付時間
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平日
午前8:00〜11:00
午後13:00〜16:00土曜
午前8:00〜11:00
- 面会時間
-
12:00〜21:00
「心臓血管センター」心臓血管外科
12/02(月) | 12/03(火) | 12/04(水) | 12/05(木) | 12/06(金) | 12/07(土) | |
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午 前 |
寺田 拡仁 | 寺田 拡仁 ※第1・3・5 のみ |
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午 後 |
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