臨床工学科
医療機器のスペシャリスト
臨床工学技士
「私達の職種は「臨床工学技士」と言います。Medical Engineer(ME)やClinical Engineer(CE)とも呼ばれます。他の職種に比べ、国家資格となってからの日数も浅く医療職種としてのイメージが薄いかもしれません。
医学の進歩の中でCT装置やMRI、エコー検査といった検査機器だけでなく、様々な「治療用医療機器」や「生命維持装置」が医療行為の中で使用されるようになってきました。過去、医療現場ではその状況に対応するため、他職種(看護師など)の皆さまや、時に医療資格を持たれない方々がこれらの機器を操作される現状がありました。そのような中、1988年に医療の高度化や専門分化、最新の技術や機器を医療現場に持ち込む為として「臨床工学技士法」が施行され、国家資格としての臨床工学技士が誕生し、現在に至ります。
全国に広く臨床工学技士が配置されるようになった1990年代からまだ30年に満たない現在ですが、医療現場には様々な治療用医療機器、生命維持装置が導入され、当院においても臨床工学科がこれらの操作・保守管理を中心に業務対応しています。
主な業務内容
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- 透析センター業務
- 当院は地域の外来患者様、入院患者様を広く受け入れる透析センターを有しています。我々、臨床工学科は透析センターにおいて、看護師と共に透析装置の操作・保守管理や血液透析に必要な透析液の精製を担当しています。血液透析に使用される人工腎臓(ダイアライザ)の選択や血液回路の組み立てなどは特に重要な業務となります。
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- 急性期血液浄化業務
- 透析センター内での慢性透析患者様の外来透析業務だけでなく、重症患者様や手術後、カテーテル手術後などの患者様は必要に応じて集中治療室(ICU)や病棟、手術室内で血液浄化を施行します。当院は移動用個人透析装置と持続緩徐型血液浄化装置を保有しており、当科は循環器内科・心臓血管外科・形成外科・整形外科・消化器外科・救急部門などと協同し、急性腎不全や重症感染症、敗血症に対しては通常の血液透析法だけでなく持続血液浄化(CRRT・SLED)を実施しています。
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- 心臓血管外科業務
- 心臓血管外科手術において、弁膜症や冠動脈バイパス術、大動脈手術などを施行する際には一時的に心臓を静止させ、心臓と肺をバイパスし、血液を循環させる必要があります。これを心肺バイパス法(CPB)と呼びます。CPBには「人工心肺装置」が用いられ、これらの操作・保守管理を担当しています。また、冠動脈バイパス手術などではCPBを用いない拍動下手術や経カテーテル的手術も施行されます。当科はこれらの際に使用される様々な機器も対応しています。
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- 人工呼吸器業務
- 患者様が御自身の力で呼吸を保てない場合には人工呼吸器と呼ばれる機器が使用されます。喉から気管まで管を通して行う方法やマスクを使用して行う方法があります。当科ではこれら各種人工呼吸器の組み立てや保守点検、救急やICU、病棟での操作や設定検討などを対応しています。また、在宅呼吸器を当院での導入、人工呼吸器を装着されたまま他院へ転院される場合の同乗なども当科の業務となります。
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- 補助循環業務
- 重症心疾患や重症肺疾患に対しては補助循環装置と呼ばれる装置が使用されます。バルーンを心臓に同期させ収縮拡張させる大動脈内バルーンパンピング装置(IABP)、遠心力を利用した血液ポンプと酸素や二酸化炭素のガス交換を人工的に行う人工肺装置を組み合わせた経皮的補助循環装置(PCPS)が代表的です。臨床工学科はこれら補助循環装置の操作・保守管理を担当します。
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- カテーテルインターベンション業務
- 心臓の冠動脈や四肢動脈が狭窄、閉塞する動脈硬化性疾患に対して施行されるカテーテルインターベンション治療において、血管内超音波装置や光干渉断層像装置の操作、補助循環装置の操作をはじめとした各種インターベンション機器の操作・保守管理や医師の助手業務を担当しています。
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- 脳神経外科IVR業務
- 脳動脈瘤や血栓性脳梗塞、頸動脈狭窄などはカテーテルを用いた治療が施行されます。臨床工学技士は塞栓用コイルなどの材料管理や医師の助手業務を担当しています。
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- 心臓植込み電気デバイス業務
- 除脈性不整脈にはペースメーカ、致死的頻脈性不整脈には植込み型除細動器(ICD)が、心臓の動きがずれてしまう一部の心不全に対しては心臓再同期療法治療(CRT・CRT-D)と呼ばれる植込み型の医療機器を使用した治療が行われます。また、これら植込み型機器はそのまま退院いただき、日常生活を送ることになりますので、退院後のフォローアップが重要になります。臨床工学技士は植込み手術からその後の設定プログラミングやフォローアップ、外来を担当しています。なお、心臓植込みデバイス患者様には当院は積極的に遠隔モニタリングと呼ばれるシステムを導入しています。遠隔モニタリングはこれらデバイスの作動状況やデバイスの状態などを自宅から病院まで遠隔送信してくれるシステムです。臨床工学技士は遠隔モニタリングの管理や医師への報告などを担当しています。
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- 神経刺激装置業務
- 大腸肛門外科や泌尿器科などで施行される神経刺激装置はペースメーカと似た外観をした装置です。体内に植え込まれ、排便障害や排尿障害治療、疼痛コントロール目的に使用されます。臨床工学技士は医師と共に植込みや設定調整、体外式テレメトリ(交信)装置を用いたフォローアップを担当しています。
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- 手術室業務
- 人工心肺装置だけでなく手術には大変多くの医療機器が使用されます。代表的な機器として全身麻酔に使用される麻酔器や麻酔モニタ装置、特に使用が増えているのが鏡視下手術に使用される装置です。当院の外科系診療科では大切開ではなく小さなポートを挿入して、そこからカメラで見ながら手術を行う鏡視下手術が多く施行されます。これらに使用される3Dカメラや4Kカメラ、高周波や超音波、レーザー機器などを含め、手術室で使用される各種医療機器の管理を臨床工学技士が担当しています。
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- ME機器安全管理業務
- 手術やカテーテル手術で使用される特定の高度医療機器だけでなく、院内では様々な医療機器が一般的に使用されます。これらの医療機器を当院では臨床工学科が中央管理システムを導入し管理しています。病院全体で使用される医療機器はME機器管理センターに貸出返却していただき、運用しています。ME機器管理センターでは返却された医療機器を点検し、貸出出来るよう常に備えています。また、医療機器安全管理担当として、新規医療機器の導入時のサポートや院内研修会の実施、既存機器を含め保守管理計画の策定と実施を行い、医療機器の安全使用の為の業務を行っています。
特色
臨床工学科は病棟や手術室、外来といった特定の部署に所属する部門ではありません。外科系・内科系を問わず、外来から病棟、退院後まで医療機器を用いた医療の行われる様々な場所、様々な職種と共に業務を行うのが特徴です。チーム医療の一員として医療機器が安全に使用され、患者様にとって最高の医療を提供できるよう常に研鑽に努め、医師をはじめとする他職種と連携して業務を行っています。
- 安全対策チーム
- 患者さんに安全で安心な薬物治療を提供できるよう、医師や看護師など院内の様々な職種と協力しながら、様々な活動を通じて、薬の投与開始前から投与後に至るまで、継続的に監視しています。
スタッフ体制
- スタッフ構成
- 12名(2019年6月現在)
- 所属スタッフの有する主な資格
- 臨床工学技士
- 研修会参加実績
- 日本心臓植込みデバイスフォローアップ研究会事務局(臨床工学科内)
日本EP・アブレーション技術研究会事務局(臨床工学科内)
- 主な管理機器
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挿管型人工呼吸器 7台 マスク型人工呼吸器 5台 PCPS 1台 IABP 2台 人工心肺装置 1式 除細動器 9台 血液透析コンソール 39台 持続緩徐式血液濾過透析装置 2台 輸液ポンプ 45台 シリンジポンプ 55台



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